コールセンターコラムColumn
EULA(End-User License Agreement)にまつわるお話し
EULA(End-User License Agreement)にまつわるお話し
季節は夏。
7月に入り、今年は予想されていた通りの猛暑となっておりますが、読者の皆様はいかがお過ごしでしょうか。
想像するに、毎日のように寝苦しい夜を迎えておられるのではないかと思います。
そしてこの時期、暑さ以上に私たちを困惑させるのが「蚊」です。
部屋を暗くして寝ていると、突然、耳元で「ブ~ン」と音がして目が覚め、照明をつける。
ところが、部屋を明るくして探しても、蚊がどこにいるのか、さっぱりわからない。
諦めて消灯するとまた、耳元を「ブ~ン」という音が通り過ぎて、眠りにつけない。
結局、殺虫剤をまいたり、忘れていた蚊取り線香や電子式液体蚊取り器を慌てて探してみたりと、この季節、彼らは暑さ以上に迷惑で、私たちを戸惑わせる存在と言えましょう。
ところで、夏になると蚊の存在を思い知らされるように、普段パソコンを利用している分には気にも留めていないことを、あるきっかけで突然、気づかされることがあります。
それは、ソフトウェアの「ライセンス」についてです。
OSであるWindows、アプリであるMicrosoft Officeなど、私たちが普段利用しているソフトウェアには必ず「ライセンス」というものが存在します。
ライセンスは、提供元(Microsoft、Adobe、Google等)が提供するソフトウェアの利用を開始する前に、利用者へ前もって同意を求める「使用許諾契約」の一部です。
私たちはほとんどの場合、Windows、Officeなどの初期設定をする際、意識する、しないに関わらず、提供元が提示するライセンス条項に「同意」した上で利用しています。
このことは、どのメーカーのPCを購入されたとしても、ライセンスはPCの「製造元」ではなく、ソフトウェアの「提供元」と「エンドユーザー」との間で直接交わされるものであるため、何者も、この間には入り込めないことを意味します。
Windowsを含めた、いつもの通りにご利用のソフトウェアで、ある日突然、ライセンスに関するトラブルが発生してしまったとすれば、メーカー製PCをお買い求め頂いたお客様であれば、取りも直さず、そのメーカーのコールセンターへご連絡をなさることでしょう。
それは自然の成り行きです。
今年に入ってからコールセンターでは実際に、「Windowsのライセンス認証に失敗する」、
「Officeの初回セットアップでライセンス認証が出来ない」とのお問い合わせを頂くことがございました。
ところが、せっかくご連絡頂いたとしても、ライセンスに関するトラブルはメーカー側ではどのようにしても対処することが出来かねます。
これは本当に、どうしようもなく、どうにもならない問題なのです。
まず、OSであるWindowsを含めたソフトウェアを利用する前、ほとんどの場合はその初期設定をする際に、ライセンス条項を含めた「使用許諾契約書」に同意した上で利用していることは、さきほど述べました。
「使用許諾契約書」は別名、「EULA」(End-User License Agreement)と呼ばれています。
Windows10を例に取ると、初期設定をなさったことがある方ならばご記憶にあるかと思いますが、販売店で購入されたメーカー製PCをご帰宅後に開梱し、初めて電源を入れてみると、青色の「法的文章をお読みください」という画面が表示されます。
これが、「使用許諾契約書」(EULA)であり、EULAに同意しないと、次の設定に進むことができず、初期設定は終了してしまいます。
参考までに、どのような画面が出るかについて、NEC、富士通、VAIOの3社が公開している写真を載せておきます。
※NEC
https://121ware.com/qasearch/1007/app/servlet/qadoc?QID=018108
※富士通
https://www.fmworld.net/cs/azbyclub/qanavi/jsp/qacontents.jsp?PID=3810-8540#tejun1
※VAIO
https://solutions.vaio.com/2191
これも参考までに、Windows10の初期設定が完了してしまったら、このEULAの全文を読むには、Microsoftのホームページを訪れるしかありません。
興味をお持ちの方がおられれば、以下のURLを訪れてください。
https://www.microsoft.com/ja-jp/useterms
念のため、Windows10のEULAを検索する方法を記載しておきます。
・ソフトウェアの取得方法
メーカー製PCの場合、「コンピューター製造業者から取得したお客様のコンピューターにプレインストール済み」という項目を選択。
・製品名
「Windows」を選択
・バージョン
「10」を選択
・言語
「Japanese」を選択
すべてを選択後、言語の右側の「検索」ボタンを押すと、左下に、
・Windows_10_Japanese.htm
という、青色の項目が出てきますので、この項目をクリックすると表示されます。
また、Microsoft Officeについても、このページでEULAを確認することが出来ます。
例として、「Home and Business 2016」の検索方法を記載します。
・ソフトウェアの取得方法
メーカー製PCの場合、「コンピューター製造業者から取得したお客様のコンピューターにプレインストール済み」という項目を選択。
・製品名
「Office」を選択
・バージョン
「2016 Home and Business(Windows and Mac)」を選択
・言語
「Japanese」を選択
すべてを選択後、言語の右側の「検索」ボタンを押すと、左下に、
・Office_2016HomeAndBusiness_JPN.htm
という、青色の項目が出てきますので、この項目をクリックすると表示されます。
なお、Office PremiumのEULAは、Windows10とは違い、初期設定の最初の画面には出てきません。詳細は以下のMicrosoft Officeのサポートページをご覧ください。
※Office Premium (Office 2016 版) セットアップ
http://www.microsoft.com/ja-jp/office/setup/premium/setup.aspx
補足ですが、URLを開いた画面の「STEP7」(使用許諾契約書の確認)で、写真の真ん中に「最初に行う設定です」というダイアログボックスがあり、その左下には「使用許諾契約書を読む」という青色の項目がありますので、この項目をクリックすると、読むことが出来ます。
(余談ですが、ホームページ上の写真にある、その項目を押しても反応はありません。)
このように、意識する、しないとに関わらず、Windowsをご利用になる、または、Office製品をご利用になる際、ご利用の皆様は必ず、ソフトウェアを利用する前に、ライセンス、EULAについて直接、提供元であるMicrosoftとの間で合意されており、いくらメーカー製PCをご購入頂いたとしても、メーカーはこの間に分け入ることは出来かねるのです。
最初にも触れましたが、今年に入って頂いたお問い合わせの中で、『Officeの初回セットアップ時に「このプロダクトキーは既に使用済みか、または別の Microsoftアカウントで一部が使用され・・・」と表示されて、ライセンス認証ができない』というトラブルがあって、困惑させられました。
プロダクトキーは、提供元が提供するソフトウェアが正しい手段で入手され、利用者に提供されていることを確かめるために必要なもので、ライセンスと深く関わっています。
お問い合わせ頂いたお客様の中には、ご事情はお察しするのですが、ご購入直後からのトラブルであるため、「初期不良」と勘違いをなさる方もおられました。
コールセンターとしてはご迷惑をおかけしていることをお詫びし、この問題はMicrosoftへお問い合わせさえして頂ければ解決することをご案内するしかありませんでした。
参考までに、本件に関するMicrosoftのサポートページのURLを以下に掲載します。
※プロダクトキーの認証エラーについて
https://www.microsoft.com/ja-jp/office/2016/attention3.aspx
このページに記載の通り、プロダクトキーの認証エラーが発生した場合は、
「このような問題が発生した場合はマイクロソフト Answer Desk サポートにお問い合わせ」頂くことが、解決の早道となります。
これまで通り、普通に使ってきたのに突然、Windowsのライセンス認証に失敗するようになった、また、購入直後にMicrosoft Officeの初期設定を行おうとしたら、ライセンス認証に失敗した。
このような場合、まずは不信感も含めて、ご購入頂いたメーカーのサポートセンターへお問い合わせを頂くことはお気持ちとして、重々承知しております。
しかし、EULA、ライセンス、プロダクトキーはソフトウェアの提供元とエンドユーザーとの間で交わされるものであり、コールセンターでは如何ともしがたい問題であるため、Microsoftなどの提供元へお問い合わせ頂くようお願いすることとなりますことを、どうかご承知頂きますよう、お願い申し上げます。
それでは。