コールセンターコラムColumn

Windows10 Creators Updateの落とし穴

コールセンターコラム

 読者の皆様、GWはいかがお過ごしになりましたか。

 今年のGWは最大9連休でしたので、きっちりと取ることができた方は、有意義な休暇を満喫されたことではないか、と思います。

 

 ところがその休暇中、もしくは、その休暇明け、これまでどのような経緯があったかはさて置き、Windows10を利用されているPCで、突然、再起動すると自動更新が長時間に渡って開始されて、再起動された後、今までと使い勝手が違うようになっていたと気づく経験をされた方が少なくはないのでは、と予想されます。

 

 TVニュースなどでも報じられていたことからもご存知の方はご存知だとは思うのですが、Microsoftは2017年4月11日を機に、Windows10の3回目の大型アップデートである「Windows Creators Update」を公開しました。

 これにより、Windows10が搭載されているPCには自動更新の機能によって「漏れなく」、「Windows Creators Update」が適用されることになるのです。

 

 しかしこの公開は、Microsoftが2015年7月29日から1年間、彼らが対象とするOS向けへWindows10への無償アップデートを配布したところ、各PCメーカーがその対処に困惑したのと同様の状況をもう一度、生み出していると言えます。

 

 それは、4月11日に公開されたとは言え、自動更新の配信の状況から、影響が出始めるのが5月以降になる、との観点から考えると、PCメーカーにとっては「五月病」と言っても過言でないものになる、と言えるかもしれません。

 

 Microsoftが2015年7月29日、Windows10の無償アップグレードを公開したことは周知されていますが、これにより、PCメーカーを含め、混乱させられたエンドユーザーの方々は多数に及びます。

 

 なぜなら、Microsoftは「Windows7」から「Windows8.1」まで、公開から数えて6年間に及ぶ対象のOSをWindows10のアップグレード対象としたからです。

 ところが、Microsoft側の意図は別として、PCメーカー側がこの6年間に発表した全てのPCを以前と全く変わりなく、Windows10になっても利用できるよう準備を整えることは正直、困難を極めました。

 

 その結果、メーカー毎に時期は違いますが、おおよそ、Windows8モデルの最終版辺りを境として、Windows10アップグレード後の動作保証確認への線引きが行われました。

 

 このことは、周知の通り、自動更新の機能により、Windows7搭載PCが半ば強制的にWindows10へアップグレードされてしまったエンドユーザーにとっては、自らの意思には関わらず、メーカーのサポートを受けることができなくなる状況を生み出しました。

 

 実は、Windows10 Creators Updateは再び、この状況を生み出そうとしています。

 

 例として、大手PCメーカー各社の「Windows Creators Update」に関するサポートについて紹介すると、次のようになっています。

 

 ・NEC

http://121ware.com/psp/PA121/NECS_SUPPORT_SITE/ENTP/h/?tab=SUP_Z_WIN10UPDATE02

 ・富士通

http://azby.fmworld.net/support/win/10/update1703/model.html

 ・東芝

http://dynabook.com/assistpc/osup/win10v1703/target/index_j.htm

・VAIO

https://support.vaio.com/windows/10/update/2017-creators.html

 

 詳細は各PCメーカーのホームページをご覧頂きたいのですが、あえて申し上げますと、上記4社のサポートは共通しています。

 それは、「Windows10 Creators Update」アップグレード後のサポートは、「Windows10プリインストールモデル」しか行わない、ということです。

 

 要はPCメーカーが揃って、Windows7や8.1からWindows10へアップグレードしたPCのサポートをしない、と公表している、ということが断言されています。

 これは、対象外のPCにCreators Updateが適用されてしまったとしても、PCメーカー各社は、対象外のPCへのCreators Update用ドライバーや修正モジュールを配信しないことを意味するのです。

 

 これはまさにMicrosoftが、彼らが対象とするOSに対し、Windows10を自動更新機能によって配布した際に起こったのと同じことが今再び、現在進行形で起こっています。

 

 具体的には、2017年4月11日以降、Windows10をOSとしてご使用なさっているPCへ自動更新の機能により有無を言わさず「Creators Update」がダウンロードされ、使用者の意思に関わらず、アップデートが開始されます。

 

 このダウンロードは自動更新の機能によるため、対象が「Windows10プリインストールモデル」なのか、Windows7か8.1からのアップデートモデルなのかを選びません。

 そうです、Windows10である限り、メーカー側が「動作保証外」と公表していたとしても、Windows7、8.1からのアップグレードである場合、気がつくとお手元のPCは動作保証外のPCとなってしまうのです。

 しかも、これもかつてと同じように、アップグレードしてしまった場合、PCメーカー側は間違いなく、「元の状態へ戻す」よう、ご案内することとなります。

 その方法は今回の場合、Windows Updateの類となることから、Microsoft側は電話の窓口を設けておらず、Microsoft Community(Webサイト)への質問、という方法しか用意されていないこととなり、情報を必要とする方々には煩雑を極めます。

 

さらに厄介なのは、今回のことは、かつてのWindows10の無償アップグレード、要は、最上位OSへの変更ではなく、同じOSのアップグレード、だと言うことです。

 

Windows10無償アップグレードが自動更新で配布されていた際、「Windows10を入手する」というアップデータによって事前通知されていました(それが半ば強制だとしても)。

ところが、今回の「Creators Update」は同じOSのWindows Updateによる自動更新であるために、事前通知もなく、気がつくとアップグレードされるのです。

 

また、正直、自動更新の機能によるため、これを根本的に止めることはできません。

それは、PCメーカー側が動作保証していないPCへも自動的に導入され、しかも、仮に元へ戻せたとしても、再度、アップデータがダウンロードされることを止めることもできないのです。

 

そうです、動作保証外のPCへCreators Updateは容赦なく、何度でもエンドユーザーの元へダウンロードされる懸念があります。

 何度申し上げますが、これは、PCメーカー側の努力で対処できることではありません。

 それこそ、PCメーカー側、エンドユーザー側にとって、Windwos10プリインストールモデルをご利用でない場合は、まさに「悪夢」となること、ご用心ください。