コールセンターコラムColumn
MicrosoftとOneDriveの関係って?
2018年を迎え、早や1ヶ月が過ぎ、2月となりました。
2月と言えば「節分」ですが、読者の皆様はいかがなされましたか。
ご自宅ではお父様が鬼になり、家族から「鬼は外!」と豆を投げられる役に回り、ご苦労をなさった方も多いのではないかと思います。
併せて、昨今は節分に「恵方巻き」を食されるご家庭も増えていることでしょう。
今年の恵方巻きの方角は「南南東」でした。
ご家族揃って南南東を向いて、恵方巻きを両手で握りながら、口いっぱいに頬張られたであろう絵が浮かんできます。
節分は、一般的には「福は内、鬼は外」と声を出しながら福豆(煎り大豆)を撒いて、年齢の数だけ(もしくは1つ多く)豆を食べて、厄を払う行事です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AF%80%E5%88%86
(Wikipedia – 節分)
有名な神社仏閣が行う節分の中でも、成田山新勝寺は毎年、大相撲力士や大河ドラマの出演者が参加することで知られています。
今年は、横綱の白鵬、稀勢の里を含む力士5名、大河ドラマ「西郷どん」からは鈴木亮平さんや北川景子さんらが参加され、会場は、きっと活気を呈していたことでしょう。
どのような節分を迎えられたかはともかくも、読者の皆様の厄が節分によって払われているとすれば、幸いかと存じます。
ところで、インターネットが当たり前のように普及し、高速な接続サービスが定着している昨今、PCであれ、タブレットであれ、スマートフォンであれ、新たなデータの保存先として、いくつもの「クラウドサービス」が提供されています。
クラウドサービスでは、「OneDrive」(Microsoft提供)、「iCloud」(Apple提供)、「Dropbox」(Dropbox社提供)、「Google Drive」(Google社提供)などが有名です。
いずれも、それぞれに対応するユーザーアカウントとパスワードを設定すれば、PCからでも、タブレットからでも、スマートフォンからでも利用することができます。
また、無償で利用できるストレージ容量が限られていることも共通しています。
その中でも今回は、Windowsの開発元、Microsoftが提供する「OneDrive」について少々述べていきたいと考えております。
かといって今回、OneDriveの機能紹介をするつもりはございません。
WindowsとOneDriveとの関係を考えることで、他社と競合するこのようなサービスをMicrosoftがどのように提供してきたのかを、振り返ってみたいと思います。
まず、「OneDrive」については、私どもコールセンターでは全てのお問い合わせにご協力できかねることがございます。
しかし、それについて、疑問を持たれるお客様も多いかと思います。
なぜなら、特にWindows10では「OneDrive」が否応なくシステムに組み込まれており、エクスプローラを開くと、左側にある「クイックアクセス」の一覧には「OneDrive」があり、あたかも、OSの中にあらかじめ存在しているかのように配置されているからです。
これは、Microsoftアカウント(を未所有の場合は新規作成して)初期設定を進めていくと、「どこででもファイルにアクセス」という画面が表示され、OneDriveを使用するかどうかを選択することができます。
しかし、この画面の右下には大きく「次へ」というボタンが配置されており(そのボタンを押すと、OneDriveを使用する選択をしたことになります)、その意味を深く考えず、「次へ」ボタンを押して、そのまま設定を進めていかれる方がほとんどです。
詳細は、以下の画像をご覧ください。
(注1)画面の左下には「このPCにのみファイルを保存する」という選択肢が表示されてはいるのですが、青い背景に青色の文字で表示されているため、正直分かりにくいです。
(注2)この画面はWindows10のバージョン(最新は1709)により変わることがあります。
こうして、OneDriveは、初期設定時に登録したMicrosoftアカウントに紐づけられて、利用できるようになります。
OneDriveはWindowsが起動するたびに常駐プログラムとして連動し、通知領域に表示されていない場合でも、隠れているインジケーターを表示さえすれば、そこには「雲」(まさにクラウド)のアイコンがあり、まさしく「OneDrive」が動いている証左となります。
このように、初期設定の中には「OneDrive」の項目があり、エクスプローラにも表示され、通知領域にも存在するのであれば、これらを目にしたお客様が「使ってみたい」と思われたとしても、致し方ないことと言えます。
OneDriveの売りは、他のオンラインストレージと同じく、「クラウド上にデータを保存する」「保存したデータを(PC、タブレット、スマートフォンなどで)共有できる」ことであり、
特にPCをご利用のお客様が、ドキュメントやピクチャなどのデータを「クラウド上に保存」すれば、記憶装置(HDD、SSD)の容量を抑えることができると考えて、自力で設定を変更された場合(*)、次のような経験をされることがあるようです。
(*)設定変更手順
・通知領域にある「OneDrive」のアイコンを右クリックし、「設定」を表示する。
・表示された「Microsoft OneDrive」のダイアログボックスの「自動保存」のタブを開く。
・「ドキュメントと写真」の欄にある、「ドキュメント」と「ピクチャ」の右側にある選択肢を「このPCのみ」から「OneDrive」に変更し、「OK」ボタンを押す。
■起こり得ること
・OneDriveが無償で提供するストレージ容量は「5GB」まで。
・そのことに気がつかず、内蔵記憶領域と同じ感覚でピクチャフォルダやドキュメントフォルダにデータを保存することで容量が5GBを超えてしまい、継続使用するには追加の料金を払うか、データを5GB以下に抑えるよう、通知が来る。
・料金を払いたくないのでやむなく、上記の「Microsoft OneDrive」の「自動保存」の設定を元に戻す(ドキュメント、ピクチャの両方を、「このPCのみ」に変更する)。
・これで同期が切れたと判断し、OneDriveにあるデータを削除(OneDriveの容量を軽くするため)すると、予想に反してPC側のドキュメントフォルダやピクチャフォルダにある同じデータが一緒に削除されてしまう。
このことはMicrosoftが紹介するOneDriveの記事を探しても、記載がありません。
ドキュメントフォルダとピクチャフォルダの保存場所を一旦「OneDrive」に指定すると、どうやら、途中で保存場所を「このPCのみ」(ユーザープロファイルフォルダ内)に戻しても、戻す以前のデータは「OneDrive」と同期し続ける、要は、同期を解消できないようです。
残念ながらこの時点でもし、コールセンターへお問い合わせを頂いたとしても、私どもでは解決のお力添えになることは困難です。
なぜなら、先述の通り、「OneDrive」のサポートはご協力出来かねる範囲があるからです。
(ご案内することがもしあるとすれば、ピクチャフォルダ、ドキュメントフォルダに保存されているデータを他の任意の場所へコピーした上で、両フォルダ内のデータを削除してから、コピーしたデータを両フォルダへ移動、もしくはコピーする、くらいでしょうか。)
なぜ、サポート出来かねる範囲があるのか、初期設定にも組み込まれていて、OSの機能の一部なのではないか、との苦言を仰せになりたくなるお気持ちも承知しております。
それでも、文頭で申し上げた通り、「OneDrive」はMicrosoftが(本来、Windowsとは別に)提供する「単独」の「クラウドサービス」であるため、出来かねる範囲があるのです。
要は、メーカー製PCのコールセンターで、「iCloud」、「Dropbox」、「Google Drive」のサポートを詳細にすることがない(これらのサービスはお客様が「後発的」に導入されるものであるため)のと同じように、「OneDrive」も子細に渡ってのサポートは致しません。
ここで、賢明なお客様であれば、「OneDrive」と他のクラウドサービスとの違いに気づかれるのではないでしょうか。
そうです、Microsoftは、自らがWindowsの開発元である強みを生かし、App StoreやGoogle Playからの提供と合わせて、OSである「Windows」に最初から結びつけて、自社のアプリやサービスを提供することができるのです。
他のクラウドサービスは、お客様に「選んで」「導入」して頂かなければ、利用されません。
MicrosoftはWindowsに「OneDrive」をあらかじめ関連付けておくことで、本来「選んで」頂かなければならない過程を省略し、お客様に利用してもらうことを可能にしています。
実は、このやり方は、MicrosoftがWindows95の頃から行ってきた手法と言えます。
Internet Explorerは、Windows95OSR2から、Windowsに標準搭載されました。
それまで、最も利用されていたブラウザは「Netscape Navigator」です(有償提供)。
要は、Webページを観るには、それまでは自らの手でブラウザをインストールする必要があったのですが、MicrosoftがInternet ExplorerをWindowsに標準搭載することで、利用者はそのような手間をかけることなく、Webページの閲覧ができるようになりました。
これは便利なようで、同業者の入る余地をほとんど奪ってしまうに等しくなります。
「Netscape」はこのことで苦戦を強いられ、一旦開発を中止するに至っています。
(開発を中止したのは、Internet Explorerとの競合だけが要因ではありませんが、彼らのアプリは後に、「Mozilla Application Suite」へと移行していきます。)
https://ja.wikipedia.org/wiki/Netscape%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA
(Wikipedia - Netscapeシリーズ)
このことはメーラーも同じでした。
「Outlook Express」は、Windows98からWindows XPまで標準搭載され、「Windowsメール」は、Windows Vistaに標準搭載されていました。
ところが、Windows7には基本的に、標準でメーラーが搭載されなくなりました。
(メーカー製PCでは便宜を考慮し、「Windows Liveメール」を添付していました。)
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/976581
(Microsoft - Windows 7 でメール ソフトが見つからない!?)
これは当時、MicrosoftがブラウザやメーラーをWindowsに標準搭載することが問題視され、この結果、Microsoftがメーラーのみを標準搭載から外した経緯があるようです。
それでも、ブラウザは「Microsoft Edge」となった今も、Microsoftは標準搭載しています。
要は、Microsoftはそのような「感覚」で、「OneDrive」もWindowsに組み込んでいるのかもしれない、としか申し上げられません。
昔からの流れにより、ブラウザである「Internet Explorer」「Microsoft Edge」については、コールセンターでサポートをしております。
しかし、ブラウザとクラウドサービスは明確に違うものです。
ご不便をおかけするとは存じますが、その意味からも「OneDrive」はコールセンターではサポートできかねる範囲があること、どうか、ご容赦ください。
来月も、当コールセンターコラムをよろしくお願い申し上げます。