コールセンターコラムColumn
セキュリティソフトについて
■セキュリティは万全に越したことはないのですが…
メーカー製PCにはほとんどと言っていいほど(BTOモデル除く)、お試し(期間限定)版のセキュリティソフトが(お客様便宜を考慮して)プリインストールされており、ソフトウェアの提供元へのお客様登録さえ済ませば、手軽に利用できるようになっています。
また、予めご利用のセキュリティソフトをお持ちの場合、(プリインストールされているセキュリティソフトを削除の上で)新規ご購入のPCにインストールされることでしょう。
更に、インターネット決済が可能なWebサイト(ショッピング、バンキング等)の勧めもあって、(フィッシング対策等を目的とした)新たなセキュリティソフトを別途、導入されるお客様もおられることかと思います。
要は、セキュリティに配慮し、リスクに備え、対策を施すことは最良の手段です。
これに口をはさむ余地はありません。
ところが、そんなお客様のお気持ちをそぐようなことが、起こる場合があります。
それは、特定の(本来はお客様を何らかの脅威から守るための)セキュリティソフトを導入することが、逆に、ご利用のお客様に不便をもたらしてしまうことがあるのです。
では、いったいどんな例が具体的にあるのか、紹介してみたいと思います。
■Rapportを導入すると、Microsoft Edgeが起動しない、もしくは起動途中で終了する。
・Rapportとは
http://direct.bk.mufg.jp/secure/rapport.html
(三菱UFJ銀行 無料ウィルス対策ソフト「Rapport(ラポート)」)
https://www.mizuhobank.co.jp/retail/products/direct/security/rapport/index.html
(みずほ銀行 ウイルス対策ソフト「Rapport(ラポート)」)
「Rapport」とは、上記のURLを訪れて頂くと開くページで紹介されている通り、「IBM社」が提供する無償のセキュリティソフトです。
正式名称は「IBM Trusteer Rapport」で、単に「Rapport」(ラポート)と呼ばれています。
先に紹介した銀行サイトは2社ですが、インターネットバンキングを提供するに当たり、この2社以外でも、「インターネットバンキング専用ウイルス対策ソフト」として「Rapport」の導入を勧めています。
インターネット上で決済取引可能なWebページを提供する側(銀行)としては、顧客側のリスクを鑑み、マルウェアやフィッシング詐欺を防ぎ、アカウント乗っ取りや不正な取引を検出することが可能な、このようなアプリを紹介し、導入を促すことはある意味、「責務」と言えなくもありません。
ところが昨年、Windows10 Creators Update(Ver.1703)以降へアップグレードすると、Rapportがインストールされている場合、Microsoft Edgeが起動しなくなる、もしくは、起動してもすぐに終了する、というトラブルが発生することがありました。
この場合、
・Internet Explorer11では何の問題もない。
・(メーカー製PCのコールセンターではサポート外の)Google Chromeでも問題ない。
ことが確認されています。
(コールセンターへ該当のトラブルのお問い合わせが急増した当初、私どもは明確な原因をすぐには掴めず、従来通りの「Microsoft Edgeが起動しない」トラブルシューティングを用いて対応しておりましたが、後にこのことが判明しました。)
現在、私どもコールセンターでは、「Microsoft Edgeが起動しない」とのお問い合わせを頂いた場合はまず、Internet Explorer11が問題なく動作するかをお伺いします。
もし、その通りであれば、次にお伺いするのが、「Rapport」をインストールされているかどうかです。
インストールされている場合、私どもは迷わず、Internet Explorer11の代替利用を検討して頂くか、お客様がMicrosoft Edgeでの症状改善を望まれるのであれば、「Rapport」がMicrosoft Edgeの動作に影響している可能性をご案内の上、具体的な対処方法は、導入を勧めたお取引の銀行サイト(もしくは「IBM社」)へお尋ね頂くようお願いします。
その理由は、その方が解決の早道となる可能性が高いからです。
これは提供元であるIBM社も認めているのですが、「Rapport」はMicrosoft Edgeの特定のバージョンには対応していないのです。
https://www.trusteer.com/ja/support
(IBM カスタマーサポート →2018年4月1日現在での情報)
上記URLのページには、Rapport(IBM Trusteer)について、以下の記載があります(転載)。
「EdgeHTML 16 ブラウザの対応状況について
EdgeHTML 16ブラウザは、現在サポート対象ブラウザには含まれておりません。
IBM Trusteerでは、EdgeHTML 16ブラウザをサポートするべく対応努力を続けております。
本件に関するお問合せはIBM Trusteerカスタマーサポートまでご連絡ください。」
Microsoft Edgeは、Windows10 Fall Creators Update(Ver.1709)では、バージョンが「16」以上にアップグレードされます。
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1708/22/news068.html
(@IT atmarkit - Windows 10 Fall Creators Updateの「Microsoft Edge」は「EdgeHTML 16」アップデートで何がどれだけ速くなる?)
このことからも、Rapportは現実に、「Windows10 Fall Creators Update(Ver.1709)」、要は、「EdgeHTML 16ブラウザ」では正常に動作しないのです。
(ただし、この記事がコールセンターコラムに掲載される頃に、RapportがEdgeHTML 16ブラウザへの対応を完了している可能性が全くないとは言えません。)
Microsoft Edgeが起動しない、もしくは起動後すぐに終了するのに、他のブラウザでは問題がない場合、私どもとしては、Rapportがトラブルの原因となっている可能性を疑い、提供元、もしくは「IBM社」への相談をご提案するのは、やむを得ない次第と言えます。
その上で、Rapportは継続使用したい、もし、削除などして、何らかの被害やリスクを負ってしまったら、その責任が取れるのか、との苦言を頂いたとすれば、私どもでご提案できるのは、Internet Explorer11を代替でご利用頂くこと(逆に言えば、Edgeのご利用を「諦めて」頂くことになる)しかなくなるのです。
この旨、ご理解を頂ければ幸いに存じます。
ただ、Rapportのみが、このトラブルを引き起こす原因ではないことも事実です。
提供元、もしくは「IBM社」へお問い合わせをなされた結果、Rapportを仮に削除してもこのトラブルが改善しない場合は、お手数となるのですが再度、私どもコールセンターへお問い合わせを頂ければ、Microsoft Edgeが起動しない場合のトラブルシューティングに従い、問診を致します。
また、デュアルコアやクワッドコアのCPUが搭載されるようになって処理速度が格段に速くなった最近のPCでは聞かなくなりましたが、シングルコアのCPUが普通だった頃に、セキュリティソフトを二重にインストールすると、PCの動作が極端に重くなることがあり、動作が重いとのお問い合わせを頂いた際に問診したのが、このこと(セキュリティソフトの二重インストール)についてでした。
今では、この例は極端かとは思いますが、かつて、セキュリティソフトがPCへ悪影響を及ぼした一つの例、とも言えます。
いずれにしても、お困りごとがありましたら遠慮なく、いつでも、コールセンターまでお問い合わせください。
来月も、当コールセンターコラムをよろしくお願い申し上げます。