コールセンターコラムColumn
One to Oneということ
コールセンターに勤務する前は、某PC専門店で販売員をしておりました。
店内を巡回していると、当然のごとくお客様から商品についての説明を求められたり質問を受けたりします。
「このマウスはこのパソコンに使えるの」
「互換性がいちばん高いDVDは?」
「速くなくてもいいからとにかく発色のいいプリンタがほしいんですけど」
自分の担当商品以外の質問であってももちろんお客様にとっては関係ありません。
最初のうちはベテランの店員さんや詳しい同僚に確認をしていたものの、お客様はひっきりなしにやってこられます。
手が空いたときに、実機で検証したり、ネットで検索して裏をとったり、実際にメーカーのサポート窓口に確認をとったりしてなんとかひとりで対応できるようになりました。
そのときにいただく、なにげない「ありがとう」が非常に心に染みたことを今でも覚えています。
実はありがとうやお礼の言葉というものは、巷にあふれています。
社会を円滑にまわすための有効な手段のひとつですし、それがわかっているから、社交辞令のひとつとして、正直聞き流している場面もあります。
そんな定型句が心に染みるのは、相手と自分のために精一杯尽力し、自分でも納得のいく答えを導いたうえでの助言、助力に対するお礼だからこそ、なのではないかと思ったりもしています。
もっとその声が聞きたいと、行きついた先がコールセンターだったわけですが、もちろん慈善事業ではないので、そこには達成すべき指標があります。
件数の確保、モニタリング指標のクリア、アンケート送信数の徹底、アンケート結果の向上。
正直数字のプレッシャーに押しつぶされそうになって、それさえクリアすればいいかと、目的と手段が逆転してしまいそうにならなかったといえば嘘になります。
しかしそれもこれもあの時聞いた「ありがとう」のためだと思えば、もうひとふんばりしようと、思える力が湧いてくるのが不思議です。