ICT支援員は、授業で利用する提示教材の一部を先生方から依頼されて作成することがあります。 また、近年では「調べ学習」などを通じて子どもたちも様々な情報に触れ、資料を作成する機会も多くなっています。
現在、巷には様々な資料があふれかえっていて、インターネットを検索すると「あ。これ使えそう!」という情報が簡単に手に入る状態です。 そんな情報の一部を簡単に「コピー&ペースト(コピペ)」してそのまま教材に・・・提出物に・・・という方はいらっしゃいませんか。
実は「引用」についてもルールがあります。 今回は、「引用」する際の注意点などをご紹介したいと思います。
●著作権法 第32条「引用」
著作権法 第32条より抜粋
公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
【重要なポイント】
・「公表された著作物」であること
未公開の著作物から引用する事は不可である。例として企業の機密情報や、未公開の論文などが該当する。
・「公正な慣行に合致するもの」「引用目的上正当な範囲」であること
(1)自分の文章より引用が長くなってはならない(自分の文章が「主」で引用は「従」であること)
(2)引用したことがはっきり分かるように「」(括弧)でくくるなど明確にわけること
(3)だれの・どこの・どんな・・・など引用した資料の出典を明示すること
(4)資料を引用する「必然性(どうしてもこの資料を引用しなくてはならない、という理由)」が必要
(5)引用物を改変しない(誤字・脱字があってもそのまま抜き出さなくてはならない)
●著作権法 第48条「出所の明示」
引用の出典など元を明示することは重要で著作権法48条にも規定されています。
著作権法 第48条より抜粋
次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。
著作権は日本国憲法で保障された「基本的人権の尊重」の理念のもと「日本国憲法 第29条(財産権の保障)」に規定された「財産権」に含まれている「知的財産権」の一部です。 著作権法は大切な国民の権利の一つである権利を定めたものであり、「引用」のルールについても著作権法の一部となります。 著作権は日ごろから身近な問題として発生します。 著作者の権利を守ることは学校現場だけではなくビジネスの現場でもぜひ注意しておきたいものですね。
【参考情報】 文化庁「著作権制度の概要」 http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/gaiyo/   公益社団法人 著作権情報センター「著作物が自由に使える場合は?」 http://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime7.html
当社のICT支援員、および文教関連の事業・サービス
■文教ICT総合サービス http://www.pct.co.jp/itservice/education
教育機関のICT機器に関するコールセンター対応から、ICT支援員派遣・ICT機器の資産管理など様々なサービスをご提供いたします。
■文教ICTハイブリットサポート http://www.pct.co.jp/itservice/ict_hybridsupport
コンタクトセンターによる電話サポートと、ICT支援員による現地サポートを融合した当社独自のサービスです。 30年以上にわたり、パソコンや周辺機器などICT機器を中心としたコールセンターの運営をしてきた「PCテクノロジー」だからこその技術力・品質をご提供いたします。
コールセンターへのご相談の中で、「最近PCの動作が重い(重たくなった)」とのお問い合わせを頂くことが結構あります。 この場合に、Windowsそのものの問題なのか、インストール済みのアプリケーションが影響を与えているのか等を判断するために、「セーフモード」でWindowsを起動し、障害の切り分けを行うことがあります。   もし、セーフモードで起動しても起動が遅く、起動後も動きが遅い場合は、OSそのものの問題もしくは機械的障害の可能性が高くなります。 逆に、セーフモードでは起動も速く、その後も動きがスムーズな場合は、動作が重くなった時期を挟んでインストールされたドライバやアプリケーション、もしくは、そのアップデートに問題がある可能性が高くなります。(しかし、特定は困難を極めます)   なお、「セーフモード」とは、通常起動できない等、OSに問題が発生した際の診断用起動モードで、必要最低限のドライバしか読み込まず、不要なアプリケーションやサービスは起動しません。詳細は、下記URL(ウィキペディアの該当記事)を参照してください。   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%83%95%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%89   では、そもそもなぜ、Windowsコンピュータには「セーフモード」なるモードが搭載されているのでしょうか?(Mac OS Xにも搭載あり) Microsoft社はその理由について、明確には述べてはいません。 ただ、「コンピュータ」とは本来どのような用途で利用されていたのかが分かれば、セーフモードが搭載されている意義も分かってきます。
■フォールトトレラント設計とは
・フォールトトレラント設計  セーフモードを理解する上で重要となるのが、「フォールトトレラント設計」です。   フォールトトレラント設計(リンク先:ウィキペディア)   上記は、フォールトトレラント設計について解説している、ウィキペディアのページのURLです。興味のある方は訪問してみてください。 その上で、簡単に言えば、「フォールトトレラント設計」とは、システムの一部に問題が発生した場合、機能全体が停止しないよう、機能を縮小してでも動作を続けることが可能なシステムを設計する(*)、という思想です。   飛行機を一例に取ると、飛行機は空を飛んでいるため、何らかの事故が発生した場合は墜落につながります。 しかし、そう簡単に墜落されては、たまったものではありません。 現在公開中のトム・ハンクス主演の映画「ハドソン川の奇跡」は、バードストライクに見舞われた「USエアウェイズ1549便」がハドソン川に不時着する実話が元となっています。   バードストライクによる全エンジンの停止にも関わらず、ハドソン川への不時着が可能だったのは、機長の判断と操縦技術もさることながら、機体が「フォールトトレラント設計」に基づき、エンジン停止後もしばらくは滑空できるよう、設計されているからです。   このこと(*)は、コンピュータにとっても、必須の条件と言えます。
■コンピュータ(パソコン)の成り立ち
現在、日本でのパソコンの世帯普及率は、76.8%(総務省「平成28年版情報通信白書)より)となっています。かつて「国民機」とまで言われた、NECの16ビットコンピュータ「PC-9801」が発表されたのは1982(昭和57)年であり、それ以前、コンピュータはまだまだ庶民のものではありませんでした。   また、昭和40年代にまで遡れば、コンピュータは銀行や大学の研究所等でしか使用されていない「汎用コンピュータ」を指していました。 社会インフラを支える(これは現在もそうですが、当時の意味合いは今より希少で特別な)重要な存在と言えます。   この意味合いから、金融機関のコンピュータが何らかの障害で止まってしまった場合、例として「ATMが止まる」⇒「会社の業務が止まる」といった具合に、社会に重大な影響を与えてしまいます。 だからこそ、コンピュータも飛行機と同じように、どのような問題が発生しようとも止まってはならない役割があるのです。
■パソコンへのセーフモードの搭載意義
コンピュータの社会的重要性と、フォールトトレラント設計の思想が、Windowsコンピュータにも継承され、セーフモードが搭載されているのではないかと思われます。   パソコンの動作が重い、また、パソコンがいつもの通りに起動しない、との問題に直面した場合に、コンピュータを必要最低限動かすことを目的として「セーフモード」という機能を持たせているのではないでしょうか。   そして今日では、Windowsコンピュータも社会インフラとして多方面に利用されています。 例えば、スーパーのPOSレジはWindows OSが搭載されている端末も多くあります。   Windowsが通常起動しない障害が、何らかのドライバやソフトウェア、もしくは、悪意のあるアプリケーションに起因している場合、セーフモードで起動出来さえすれば、プログラムと機能から、もしくは、デバイスマネージャーから、該当すると思われる対象を削除することで、通常起動に戻せる可能性があります。   ※ただし、セーフモードでも削除できないものもあることから、必ず復旧できるとは限りません。   「セーフモード」とはいかなるものか、少しでも、お分かり頂けましたでしょうか。
■備考
メーカー製パソコンのコールセンターでは対応できる問題には限りがあります。(他社製ソフトウェア、フリーウェア等のアンインストールや操作方法はサポート外)   そのため、セーフモードで問題なくWindowが動作する場合、お問い合わせ頂いたユーザー自身で、直近に導入した、あるいは、不要と判断できるソフトウェアやドライバを削除して頂くしか、対処方法がありません。   自身で操作ができない場合は、やむを得ず、再セットアップを案内する流れとなります。