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学習指導要領の改定について

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学習指導要領の改定についてICT支援員に求められてくること

 

「10年後になくなるなる仕事」について、雑誌やインターネットなどでご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。

これは、オックスフォード大学 准教授 マイケル・A・オズボーン博士の論文「雇用の未来-コンピューター化によって仕事は失われるのか」にて著されたものです。

この論文は、米国労働省が定めた702の職業をクリエイティビティ、社会性、知覚、細かい動きといった項目ごとに分析し、それぞれの職業の10年後の消滅率を割り出したものになります。

 

さて、学習指導要領が10年ぶりに改定されることをご存知でしょうか。

先日、小・中学校の学習指導要領改定案が公表されました。

今回公表された学習指導要領は、2018年度には移行措置が始まり

 ・小学校は2020年から

 ・中学校は2021年から

全面実施される予定となっています。

 

次期学習指導要領の取りまとめにあたり審議された内容の中の資料の抜粋で以下のような内容がありました。

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とりわけ最近では、第4次産業革命ともいわれる、進化した人工知能が様々な判断を行ったり、身近な物の働きがインターネット経由で最適化されたりする時代の到来が、社会や生活を大きく変えていくとの予測がなされている。“人工知能の急速な進化が、人間の職業を奪うのではないか”“今学校で教えていることは時代が変化したら通用しなくなるのではないか”といった不安の声もあり、それを裏付けるような未来予測も多く発表されている。

(注釈17)

子供たちの65%は将来、今は存在していない職業に就く(キャシー・デビッドソン氏(ニューヨーク市立大学大学院センター教授))との予測や、今後10年~20年程度で、半数近くの仕事が自動化される可能性が高い(マイケル・オズボーン氏(オックスフォード大学准教授))などの予測がある。また、2045年には人工知能が人類を越える「シンギュラリティ」に到達するという指摘もある。

 

【参照】

文部科学省 教育課程部会 教育課程企画特別部会

「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ」「第1部 学習指導要領等改定の基本的な方向性」「2.2030年の社会と子供たちの未来」より抜粋

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このように今後10年~20年程度で今ある仕事の半数以上が変わる可能性があり、今回の学習指導要領改定の狙いを文部科学省は「覚えた知識がどんどん塗り替えられていく時代に、ただ知識を持っているだけでは通用しない。知識を使いこなし、試行錯誤しながら課題を解決する力を学校教育で養う必要がある」と、しています。

そのため、今回の学習指導要領改定にあたっては様々な点で変更ポイントがあります。

 

●主な変更ポイント

・小学5、6年の英語を教科化し3、4年に外国語活動を前倒し

・小学校のプログラミング教育を必修化

・全教科で「主体的・対話的で深い学び」の視点による授業改善を図る

・読解力を育成するため小中の国語で語彙(ごい)指導などを拡充

・主権者教育、防災教育など現代的課題への対応も重視

 

【外国語学習について】

現行「小学校5年生」から始まっている「外国語活動」の開始時期が「小学校3年生」から開始に早まり、「小学校5年生」から正式な教科「外国語科」として教科書を利用した学習となります。

この結果、小学校3年生~6年生までは各学年35コマずつ増えることになります。

また、中学校の英語は授業を原則英語で実施することになりそうです。

 

【プログラミング教育の必修化】

情報活用力を重視。

論理的思考力を身に付けるための学習活動として小学校ではコンピューターを動かすための指示を体験するプログラミング教育も必修化となりました。

 

【主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)】

「何を学ぶか」が中心だった従来の指導要領から「何ができるようになるか」を明確にし、そのために「何を」「どのように」学ぶかに重点を置きました。

そこで、答えのない問題に挑む力をつけさせる授業として、先生が一方的に教える形ではなく、討論やグループ活動など「グループで議論」をしたり、「議論の結果を発表」したり、さらに「ディベート」や「調査学習」といったことを盛り込み、子どもたちが主体的に学ぶことに重点を置きました。

この学習方法は先生から一方的に教えられるのではなく、思考力や判断力といった自ら考える力を育てるのに効果があるとされます。

 

私たちICT支援員はICT機器を用いた授業について先生方の授業をお手伝いさせていただく機会が多くなってきました。

今回の学習指導要領改定でのポイントの一つである「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」においては、タブレットPCの活用を含めたICT機器は重要になるといわれており、ますますICT支援員への期待も強まりそうです。

 

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■学習指導要領とは

全国のどの地域で教育を受けても、一定の水準の教育を受けられるようにするため、文部科学省では、学校教育法等に基づき、各学校で教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準を定めています。これを「学習指導要領」といいます。

 「学習指導要領」では、小学校、中学校、高等学校等ごとに、それぞれの教科等の目標や大まかな教育内容を定めています。また、これとは別に、学校教育法施行規則で、例えば小・中学校の教科等の年間の標準授業時数等が定められています。  各学校では、この「学習指導要領」や年間の標準授業時数等を踏まえ、地域や学校の実態に応じて、教育課程(カリキュラム)を編成しています。

 

【参照】

文部科学省 ホームページ「現行学習指導要領・生きる力」「学習指導要領とは何か?」

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/idea/1304372.htm

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