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サイトサーベイのすすめ

技術解説
「無線LAN環境を構築したけれど、期待したほど速度が出ない」「必要な場所に電波が届かない」「通信が頻繁に途切れる」などの無線LAN環境に関するトラブルを耳にする機会が増えました。 今回から5回にわたって無線LAN環境のトラブルを回避するためのサイトサーベイについて紹介したいと思います。

サイトサーベイとは

 サイトサーベイとは、無線LAN環境を構築するにあたり「各アクセスポイントの電波はどこまで届くか」「壁やパーティションの影響で電波の減衰率はどの程度になるか」「ローミングさせるにはアクセスポイントをどこに配置するのが適当か」「電波干渉を起こす外来波(※気象レーダ等)が有るのか無いのか」などの電波状況調査のことをいいます。

なぜサイトサーベイを行うのか

 無線LAN環境では、図面だけを見てアクセスポイントを設置しようとすると思わぬトラブルにみまわれることがあります。例えばPCやタブレット端末では、「特定の席では電波が入らない」「通信が異常に遅い」、無線IP電話の場合は、「音が途切れる、通話が切れる」等の事象が起こります。 無線LAN環境構築後、このような障害が発生した場合電波は目に見えませんので原因特定は非常に困難で時間も掛かります。調査の間、業務に影響が出るかもしれません。 また、調査の結果、アクセスポイントの増設や設定変更、アクセスポイントの設置場所の変更が必要になると想定していなかった出費を招くことにもつながります。しかし、無線LAN環境の構築前にサイトサーベイを行えば、この様なトラブルを事前に回避し不要な出費を防ぐことが可能となります。

 そして、調査結果を元にアクセスポイントの設置場所、チャネルの設定、出力の調整、アンテナの向き等を適切に設定することで、高品質で安定した無線LAN環境の構築が行えます。 さらに、構築時に電波状況の把握が出来ている場合、無線LAN環境の稼働後に障害が発生した場合の復旧までの時間短縮にも繋がります。

 これらの理由からも、新規に無線LAN環境を構築される場合は、事前にサイトサーベイを行うことをお勧めいたします。

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