今回は、Windows 10の新機能の一つである「Windows Hello」についてご紹介させていただきます。 パソコンへのサインインの際に、パスワード入力ではなく、生体認証を利用できる便利な機能となっており、お使いのパソコンのハードウェアが対応している場合には是非ご検討いただきたい機能です。

●「Windows Hello」とは?

  「Windows Hello」とは、Windows 10に搭載されている機能で、パソコン等のデバイスやアプリ・オンラインサービス等へのサインイン(注)を、パスワードではなく生体認証で行えるようにする機能です。 (注:それぞれ、Windows Helloに対応している場合に限ります) 具体的な認証手段としては、利用者の“顔”、“虹彩”、“指紋”を利用しています。   利点としては、複雑なパスワードの管理をする必要がなくなり、パスワードを入力する手間を省くこともできます。そのほかにも、パスワードのように悪意のある第三者に盗み取られる危険性もないため、より安全に運用できる、というメリットがあります。 具体的には、パソコンを起動する際にカメラのほうを見るだけで起動することが可能になり、Windowsストアでの買い物の際にも顔認証で買い物をする、というような使い方ができるようになります。

●設定手順

   事前にPINコードと呼ばれる暗証番号を設定する必要があり、そのあとWindows Helloの設定をする、という流れとなります。     ---暗証番号(PIN)の設定 ※設定済みの場合は不要です。 項番④から作業してください。---  
① スタートボタン⇒「設定」⇒「アカウント」⇒「サインインオプション」の順にクリックして、サインインオプションの画面を表示し、「暗証番号」の項にある「追加」ボタンをクリックします。 ここで、「変更」ボタンが存在する場合は、すでに設定済みのため項番④から作業してください。
Windows Hello 設定画面      
② アカウントのパスワードを入力して、「OK」ボタンをクリックします。
Windows Hello 設定画面      
③ PINコードを決めて入力(4桁の数字 ※確認のため2回入力)して、「OK」ボタンをクリックします。 これでPINの設定は完了です。
Windows Hello 設定画面         ---Windows Helloの設定 ---  
④ スタートボタン⇒「設定」⇒「アカウント」⇒「サインインオプション」の順にクリックして、サインインオプションの画面を表示し、「Windows Hello」の項にある「セットアップ」のボタンをクリックします。
Windows Hello 設定画面      
⑤ 「Windows Helloへようこそ」と表示されたら「開始する」ボタンをクリックします。
Windows Hello 設定画面      
⑥ 「ユーザーを確認しています」と表示されたら、設定したPINコードを入力します。
Windows Hello 設定画面   このあと、生体認証デバイスに応じたセットアップ画面(指紋認証であれば、指紋の読み取り指示画面)が表示されるため、画面に従って、生体認証のセットアップを完了させてください。       (例)
・指紋認証の場合 ・顔認証の場合
Windows Hello 設定画面 Windows Hello 設定画面
      セットアップ後は、画面ロックしたあとのロック画面の復帰の際やパソコン起動時に、生体認証を利用できる状態となっています。 (たとえば指紋認証であれば、指紋リーダーに指紋を読み取らせることでロック画面復帰やパソコンへのサインインができるようになります)   生体認証そのものは以前から存在していましたが、Windowsの標準機能として搭載されたのはWindows 10がはじめてです。 Windows 10では、画面に「パスワードはもう時代遅れです」とメッセージ表示されるように、根底には“パスワードは時代遅れ”という考えがあることも読み取ることができ、現時点ではまだ対応していないパソコンやアプリ・サービスも存在していますが、今後、順次拡大していくことが見込まれています。 近い将来、パスワードではなく生体認証がメジャーになる日が来るかもしれません。利用可能な環境が整っている方はいち早くチャレンジしてみられてはいかがでしょうか。       ※Windows は、米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標または商標です。     コールセンター     Windows10が正式に一般公開され、もう少しで1年を迎えます。 ”Windows7 SP1”、”Windows8.1 Update” が搭載されているPCがアップグレード対象となり、配布元であるMicrosoftは公開から1年間(2016年7月28日まで)の無償提供をアナウンスしています。 (Windows7の場合は”SP1”へ、Windows8、Windows8.1の場合は、”Windows8.1 Update”へアップグレードする必要があります。)   入手方法は、”Windows Update“経由が一般的で、該当OSが搭載されているPCでは自動更新を通じて、”Get Windows10”というアプリがダウンロードされます。   今回は”Get Windows10”というアプリについて、当社のPCのコールセンター部門の視点や検証結果を元に解説したいと思います。

●Get Windows10アプリの概要

  ダウンロードされると、通知領域にWindowsアイコンが表示されるようになります。 このアイコンをクリックし、表示される”Windows10を入手する”というコンテキストメニューをクリックすると、アップグレードを促すダイアログボックスが表示されます。   ・画像A:Windows10を入手するダイアログボックス(注:2016年3月以前のもの) 「Get Windows10アプリ画面」のトップ画面     前述の通り、提供元であるMicrosoftは、Windows7(SP1)をWindows10のアップグレード対象OSとしています。 Windows7が発表されたのは2009年10月であり、7年(公開時は6年)ほど前です。 Get Windows10アプリは、対象OSであれば、PCの製造時期を選びません。 一律にダウンロードされますし、「今すぐアップグレード」ボタンを押せば、Windows10へアップグレード出来てしまいます。   実は、この一連の流れが、パソコンメーカー各社を悩ませています。   日本のパソコンメーカー各社では、動作保証等の問題から、この6年間に発表された全てのPCをWindows10に対応させることができません。 Windows10の動作保証可能な機種を絞り(発売時期で区切る等)、サポートを行っており、パソコンメーカー各社がWindows10導入をサポートしていないPCが存在する、と言うことになります。   しかし、”Get Window10”アプリはそんなことはお構いなしに、アップグレードのメッセージを表示します。 この結果、Get Windows10アプリの表示に誘われて、メーカーの動作保証外のPCをWindows10へアップグレードしてしまう事例が続発しています。   動作保証外のPCをWindows10へアップグレードすると、これまで利用できていたアプリが利用できない、使い勝手が違うなど、ユーザーにとってトラブルが発生します。 しかし、パソコンメーカー側の正式見解は、”元のOSに戻す”ことのみとなり、ユーザーは戸惑われ、元のOSへの復帰には、工数と時間的負担も発生してしまいます。 (このような状況で、実際にサポートセンターへお問い合わせがあった場合は、対応窓口として、“Microsoft Answer Desk”へのご連絡を案内しております。)

●Get Windows10アプリの仕様変更

  これまでは、Get Windows10アプリが表示されたからといって、勝手にWindows10にアップグレードされることはなく、画像Aにある通り、“ダウンロードを実施し、後でアップグレード”ボタンを押せば、一旦、アップグレードを回避できていました。   ところが2016年3月に入り、この”Get Windows10”アプリの仕様が変更されました。 明らかに変わったのは右側のボタンです。   ・画像B:Windows10を入手するダイアログボックス(注:2016年3月以降のもの) 「Get Windows10アプリ画面」のトップ画面     画像の通り、“ダウンロードを実施し、後でアップグレード”のボタンが、”今夜アップグレード”ボタンに変わっています。 この違いは注視すると分かるのですが、何度も“ダウンロードを実施し、後でアップグレード”ボタンを押して、アップグレードを回避されていたユーザーは、いつもの調子で右側のボタンを押してしまう可能性があります。 結果、就寝前にPCの電源を切り、翌朝電源を入れると、Windows10へのアップグレード画面が表示されているため、”勝手にWindows10にされた”と勘違いをされるのも無理はないかと思われます。 この状況は、パソコンメーカー動作保証外のPCでも十分に起こりえることです。   もちろん、Windows10へのアップグレードを積極的に望まれるユーザーが、パソコンメーカー動作保証確認済みのPCをアップグレードされる場合、メーカー側が推奨する手順を踏んで実行されるのであれば、問題はありません。   Windows OSを新OSへアップグレードするこれまでの流れと、今回のWindows10へのアップグレードとの大きな違いは、(期間限定ではあるが)”無償で提供される”ことと、”インターネットから自動更新経由(Windows Update)でダウンロードされる“ことです。 本来、新OSへのアップグレードは、インストール媒体、ドライバーの入手等、ユーザー自らが進んで動いて行うものでした。 ところが今回は、ユーザーの意志の有無に関わらず、”自動で”ダウンロードされ、アップグレードを促すアプリも導入されます。 事前準備なく行えてしまえるところが、これまでの違いのひとつとも言えるでしょう。   ちなみに、Windows10へのアップグレードそのものは、問題視されるものではありません。   パソコンメーカーが、手元にあるパソコンのWindows10への動作を保証しているのか、保証している場合はどのような手順でアップグレードするのか、事前の確認と準備をしさえすれば、アップグレードされても戸惑うことはありません。   現在、Windows10へのアップグレードを検討中のユーザーには、”Get Windows10”の誘惑に負けることなく、よくお確かめになり、事前準備をお願いします。   「Get Windows10アプリ画面」のトップ画面     ※追記 PCご利用中、このような画像(内の文章が相違する場合あり)が通知領域のWindowsアイコン辺りからふきだしのようにして出てくることがあります。 これも、”Get Windows10”アプリによる表示です。 くれぐれも、誘われて事前準備なく、アップグレードなさらないよう、お気をつけください。       ※Windows は、米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標または商標です。